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黒の青空

第6章 4

内谷を見ると、どっか悲しそうな顔してた

寒さで頬が赤くなってる


「理緒が行方不明って初めてニュース流れたとき、自転車もないって言っとったから…」
「…」
「やから、道に自転車が止めてあったらいつも鑑札見るようなったし、離れたところ止めてたらずっと見てまうねん」


友達の家の自転車も見るようなった

内谷は静かに言った

いつもうるさいのに、静かだ

わからなかった

そういやこいつ、初めは動揺してた

不安そうに「理緒大丈夫かな」「どこ行ったんかな 」「何もされてへんよな」って

ずっと言ってたのに、ある日いつもの内谷に戻っていた

映画撮影だ、ノートみせろだ、俺によく絡んできた


「まだ見つからんかな…」


今まで気づかなかった

こいつ前までこんなに俺に絡んできたか?

いつも理緒と内谷と俺で絡んでたから感覚なかったけど

内谷今、めっちゃ不安なんや


「何で見つからへんの…警察何やっとん…」


内谷の声が震えてる

鼻をすする音


「寒い…」
「…ごめん」
「何で川上が謝るん」
「お前のことわかってなかったから」


言ってる自分は

何て薄情なんやろ










買い物に来た頃には

内谷はまた元に戻ってた

買ったもの全て内谷はカゴに乗っけて自転車にまたがった


「ありがと!」
「うん、気ぃつけて帰れよ」


内谷は手を振って、若干ふらつきながら帰っていった

冬の夜手前の空

薄く青いのがまだ残ってる

早く夜に飲み込んでほしかった

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