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黒の青空

第6章 4

家に帰って自転車を車庫の横に止めた

車庫の奥の理緒の自転車をみる

前に親にも聞かれた

その時は友達からもらったって無理すぎる訳を言ったと思う

動揺してて曖昧やけど











「…おかえりなさい」


部屋に入ると、理緒は起きていた


「どこ行ってたん」
「…内谷の買い物に付き合ってた」
「春の?」
「うん」
「…何で?」


理緒の声

不機嫌そうやった

声に力を入れないように抑えてる感じ


「頼まれたから…」
「何で起こして言って出なかったん?そんなに急いでたん?」
「…寒いし…だから早く帰したかったから…」
「………優しいね」


無表情

何も言わず、鞄だけ置いてどっか行ったことが許せないらしい


「…ごめん…」
「今日な、寂しかってんな。だから洋のベッドで寝てもててんな。早く帰ってきてほしかったのに、洋何も言わんとどっか行ってもてん」
「うん…」
「そっか…春と一緒やったんや…」


理緒がベッドから出て、じりじり俺に近づく

クローゼットに背をつかされた


「うちといるの飽きた?」
「ちゃうよ…」
「じゃ何で春のとこ行ったん?」


無表情やけど

目が俺を捉えて離すことができない

鋭くて怖い


「半ば強制で…」
「……………」
「…ごめんって…」
「今日はめっちゃ甘えるつもりやったのに気分害された」


理緒が手をのばして俺の頬に触れる

じんわりあったかい

でも怖いから、触れられて背筋が一瞬凍った


「触られるの嫌なんや…怖い?」


黙って首を縦に小刻みに振った

聞かれたことには答える

約束だから…


「春のこと忘れて…うちの見えないとこであんまり関わらないで…洋はうちを選んだんやから…だってハサミで切ったもんうちの服…帰したくなかったからやろ?」


衝動だ…

それは単に衝動で…


「洋…わかった…?」


悪夢と言ってほしい…

これが悪夢だって…















『言ってやるよ』

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