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特別刑務所(仮)

第15章 誕生。

確かまだ少しだけマスカルポーネが残っていたはずだと冷蔵庫を確認する。
少し奥においやられるそれが果たしてまだ食べられるのか甚だ疑問ではあるが希沙の胃なら問題ないだろうと取り出す。

「和ーなに作ってくれるの?」
「ティラミス。大人しく向こうでみんなと遊んでなさい。」
「えー?みんな帰っちゃったよ。」

いつの間に?
キッチンからリビングを覗くと誰もいない。

「嵐のような連中だな・・・全く。」
「でも、みんないなくなったから和に甘えても和も照れないでいつもみたいにしてくれるから俺は皆が早く帰ってくれてよかったよ。」

照れもなくよく言えることで。
本当に・・・

「希沙、おやつはあとにして二階に行こうか」
「ブー!おやつが先!」
「・・・・・・」

おやつに・・・
負けた・・・・・・だと

「あ、でも、これ食べたらいっぱい、いっぱい和を感じさせてね。」
「・・・」

可愛いことさらっと言うなよ。
理性が吹っ飛ぶだろ?

「希沙が泣いても止まらないかもな」
「えー。でも、和が幸せなら俺も幸せ。」

小さなその体で精一杯背伸びをし口づけをする希沙。
あー、本当に手放したくない。

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