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特別刑務所(仮)

第19章 駒場。

一通りの行為が終わり薬の効果も切れた希沙は深い眠りに落ちた。
辺りに飛び散る血を拭き、傷の手当てをする。

「なにをしてるだ・・・俺は」

眠る希沙の髪を撫でる。
手が触れると軽く反応を見せる。

「・・・駒場さん」
「起こしてしまったか?」
「大丈夫。」

ニコッと笑い俺の手を握る。
さっきの話続きを聞いてくれる?と、言うと俺の返答も聞かず話し出す。その話を聞いて俺はこの子を誤解していたことにきずかされた。

「そう、だったんだ。」
「ま、犯罪者なのは変わらないけど」
「俺だって・・・そう、だから」

俺の言葉に希沙は起き上がり小さな体で俺を抱き締める。

「あのね、何が駒場さんを追い込んでるかわからないけど、少なくとも俺は壊れたりしないから。駒場さんが怖くなって、どこかにやり場のない思いをぶつけたくなったその時は俺がいるから。
俺、駒場さんが欲しい。もう、一人は嫌だ。俺は囚人で、駒場さんは俺の刑務官で、そんな関係でも、離れたくない。愛してくれなくて良いから俺のそばにいて欲しい。」


希沙。
俺あのとき返事をしてなかったね。あまりに唐突であまりに突飛なその事に俺は言葉を失ってた。

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