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特別刑務所(仮)

第2章 入館。

「所長。私は最近配属されたばかりでプロジェクトについてはあまり詳しくはないのですが、その裏少年犯罪プロジェクトはいつどのようにして作られたのですか?」

所長にそう語りかけたのはまだ、20代ぐらいの若い女性。
赤い眼鏡がよく似合ういかにも出来ますと言うような顔つきでスーツをしっかりと着こなている。スカートからすらりと伸びたその足は思わず見てしまうほどきれいだ。

「萩野くん・・・
そうだな。君もこの国の歴史は知っているな。」

萩野と呼ばれた女性はお茶を所長の机におきながらええ。と短く答える。

「・・・うむ。そうあれはまだこの国が人工減少をづ付けている頃のことだ。」

そう言うとどこか懐かしげな顔をし語り始めた。



日本では日々減少し続ける子供を増やすため、ある政策を取り入れた。その政策名、子供増育プロジェクト通称をCARP(カープ)という。それが今から15年程前のこと・・。政策内容は以下の通り。
一つ、一家庭3人以上の子供を有すること。
一つ、産後の育児休暇を両親ともに認めること。
一つ、子供に関する全ての養育費は国で負担すること。
その他にも子供を育てやすい環境作りのために政策内容は記されていた。この政策により日本ではわずか3年という月日で子供の数が莫大に増え、第一次をしのぐ第三次ベビーブームが到来したのだった。
しかし喜びもつかの間、増加していく人口により犯罪の数も比例するかのように増した。特に日夜テレビを騒がせる犯罪のほとんどが未成年者によるものであった。その背景として、未成年者への処罰の軽さが度々あげられた。
そこで政府は打開策とし2年前から取り組んできたのが
[少年犯罪更正プロジェクト]である。
今まで法の名の下守られていたが少年法を撤廃にし、刑事的責任及び死刑可能とすることにした。それにより少年犯罪はピーク時に比べその数を半減させることに成功した。そしてこの表向きの政策の裏で進められているもう一つのプロジェクトこそが我々の最後の砦となる
[裏少年犯罪更正プロジェクト]だ。
このプロジェクトを今後表向きで実施しても問題が無いのか、また犯罪減少にどれだけの効果が現れるのか調査すべく国民には極秘に進めているものなんだよ。


一通りの経緯を説明し淹れてもらったお茶をすすった。

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