ミルクチョコレート
第1章 先生と秘密の放課後
放課後、私はいつものように彼を待っていた。
誰もいなくなった教室。
私はノートを広げ、数学の宿題をしていた。
シャーペンを走らせる音だけが、教室に響き渡る。
(先生、早く来ないかな)
彼がいなければ、勉強なんてはかどらない。
頬杖をつき、窓の外を見ていると
教室のドアが開いた。
「こら、七瀬
ちゃんと勉強してなきゃだめだろ」
私の大好きな、低く、よく通る声。
彼は私のところへ近づいてくる。
「だって、先生がいなきゃつまらないもん」
「ったく、そんなこと言ってると宿題増やすぞ」
「やだ」
私はぷっと、頬を膨らませた。
「そんな顔しても、可愛いとか言わないからな」
先生は、私に優しくない。
それでも、そんな彼が
私は好きで好きで仕方がない。
「とりあえず見ててやるから、続けろ」
「はーい」
私は再びシャーペンを走らせた。