ミルクチョコレート
第3章 正しい鏡の使い方
仕事で先輩と残業した後
私たちは遅めの食事をとり
先輩の車に乗せられて
ホテルへと向かっていた。
(ついOKしてしまったけど…
どうしよう、これでよかったのかな?!)
実は、先輩とお付き合いしているわけではない。
なんとなく話の流れでそうなったのだ。
でも、彼は
私がずっと憧れていた先輩。
仕事ができ、たくさんの部下から慕われている。
仕事中に見せる、メガネの奥のあの真剣な目が、
いつも私の心をくすぐるのだ。
「おい、なんか喋ったらどうだ」
「な、なな、何をしゃべったらいいですか?!」
私はあからさまな態度をとってしまった。
「ふっ、あいかわらず素直なやつだ」
彼は右手でハンドルを握りながら、左手で私の頭をそっと撫でた。
(わ…先輩に撫でられた…)
「そういえば聞いてなかったが
桐沢は彼氏いないのか?」
「はい、いません!」
「そうか、それなら心配ないな」