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ミルクチョコレート

第3章 正しい鏡の使い方



(そういえば、先輩も彼女いないのかな…

私を誘うってことは、そういうことでいいの…?)

「先輩は、彼女とかって…」

「いや、いない」

「そう、なんですか…」

(本当にいないんだ…)

本人の口から聞くと、改めて嬉しくなった。

ホテルの駐車場に車を止め、中へと入っていく。

ロビーや廊下は、意外と普通のホテルと変わらなかった。

キョロキョロと辺りを見回していると

「お前、まさかはじめてなのか?」

「あ、はい、ラブホははじめてです…」

「へえ…」

彼はニヤリと口角をあげた。

「ど、どうしたんですか?」

日頃のクールな先輩とは違う、意地悪な表情に

私は戸惑いを覚えた。

「俺が正しい使い方教えてやるから、心配するな」

そう言って彼は、ネクタイを緩めた。

(わ、かっこいい…)


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