私は官能小説作家の素材
第6章 束縛の証
「神屋は、なんでこの業界に入ったんだ?」
作家の担当のことをはじめて聞かれた。私は、ちょっと戸惑いながらも言うことにした。
「…実は、間違っちゃったの。本当は、普通の小説のとこだったんだけど…何かの手違いで…今に至るって感じで……」
「…言えばいいのに」
確かに正論。だが、取り返しがもう着かないし、
「今のままが一番良い…」
「え?」
つい思っていたことが口走ってしまった。もう、既に色々バレバレです……。
「俺も今の方が良いけどな」
「っ…?!」
声が出ないほど驚いてしまった。
ま、まさか…だよね、うん。そうだ、そうだ!!
勝手に自分の中で自問自答を繰り返していた。