妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
一方、外では地面を埋め尽くす程の蜘蛛の子が一同を襲っていた。今回の目的は茶会、戦ではないため、あまり大軍も連れていけない上武装も最低限である。数の違いは、じわじわと一同を追い詰めていた。
「撃破より、身を守る事を優先しろ! 糸に捕まったら終わりだ!」
嘉明は自らも刀を振るいながら、皆へ指示を出していく。厄介なのは、蜘蛛の糸である。殺傷能力はないが、捕まればそれだけで戦闘不能になってしまう。幸い蜘蛛の子は紙切れ同然の弱さで、負傷者は今のところ存在しない。しかし蜘蛛の糸に全身を巻かれ、動けなくなっている者が段々と増えていた。
(団は……あの黒い渦の中か。あやつを足止めしている間に、私を討つつもりだな)
嘉明は目の端に渦を捉えながら、敵の考えを読んでいく。妖魔に襲われる心当たりなど、嘉明には一つしかない。鬼が、後を追ってきたのだ。
「嘉明様、お逃げください! 町に戻り、籠城しましょう!!」
混乱する場で一際強い声を放ったのは、召し抱えたばかりの八千代の兄、悠久だった。
「それはならぬ、私が町へ逃げれば、町が蜘蛛の餌食となる! ここで根元を叩くぞ!」