妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
「しかし、このような大群をどうやって」
「よく先を見ろ。親玉が、こちらに向かっている」
動きは緩慢だが、確実に迫る巨大な蜘蛛。それは子を絶えず生み出しながら、こちらを――嘉明を捕らえようと進んでいる。
「あれを倒せば我らの勝利、分かりやすくて結構な事だ。皆、進軍せよ!」
嘉明の一言に、兵は奮い立ち一歩を踏み出す。悠久は兵の背中を眺め、一人笑みを浮かべる。しかし進みゆく者達は、その悪意に満ちた表情に気付いていなかった。
前進も後退もままならない狭い空間で、団右衛門がもっとも気を付けなければならないのは足元である。油断すれば大蛇の長い体が足を取り、締め上げようと迫る。踊るような足裁きでかわすよう意識するが、長引けば不利になるのは明らかだった。
(でかいってのは、それだけで厄介だな。ただ頭を狙うだけじゃ駄目だ、その動きを止めさせないと)
団右衛門は、清正の刀を強く握る。この刀なら、大蛇であっても難なく斬れるはず。団右衛門は大きく息を吸い気合いを入れると、思い切り踏み込んだ。
「将を射るなら、まず馬からだよな!」