妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
団右衛門が大蛇の尾を目掛けて札を投げると、そこから雷が迸る。一瞬胴体が止まったのを見逃さず、団右衛門は刀を振るった。
団右衛門の足を狙う大蛇の胴体が、真ん中から真っ二つになる。鋭い刃はいとも簡単に、大蛇の体を裂いたのだ。
「うしっ、蛇の輪切り一丁!」
頭の付いた本体は苦悶し暴れるが、短くなった体は素早い団右衛門の敵ではない。怯えて見ていた武士達も希望を取り戻し、歓声を上げた、その時だった。
切り離された尾の部分が蠢き、びたんと跳ね上がって団右衛門に巻き付く。頭の動きとまったく連動しない独立した動きに、団右衛門は成す術なく捕らわれてしまった。
「ああっ! 助けに行かねぇと、団右衛門が!!」
武士の一人が勇気を奮い、刀の柄を握り立ち上がろうとする。
「待ってください!」
しかし八千代は手を広げそれを制し、冷や汗を流しながら団右衛門を見つめた。
「なぜ止める! 団右衛門が危ない!」
「団さんの目、何かを狙っている目です! もう少し様子を見ましょう、下手に手を出したら、かえって邪魔になるかもしれません」