妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
八千代の切迫した声に圧され、武士達は頷く。いつでも飛び出せるよう準備しながらも、締め上げられる団右衛門を見つめた。
(これで、あの人がやられたら……)
八千代も団右衛門の様子を見ながら、胸の奥で考え込む。
(ぼくが手を出さなくても、殺せるなら)
大蛇は団右衛門の前で口を大きく広げ、飲み込もうと迫る。八千代の額から、汗が一滴落ちた時。団右衛門は顔を上げ、瞳を爛々と輝かせながら口角を上げた。
「やっと、止まったな」
すると先程雷を放ち、蛇の尾に貼り付いたままの札が光る。その瞬間巻き付いた胴体がほどけ、地面へと落ちた。
団右衛門は刀を突き出し、大蛇の口に突き刺す。そして腕を振り上げ、口の中から顔面を二つに割った。
傷口から紫の液体が噴き出すと同時に、辺りを覆っていた黒い靄が晴れる。大蛇は砂と化して体が崩れていき、跡形もなく消え去った。
「団右衛門、大丈夫か!」
武士達はすぐに団右衛門へ駆け寄る。団右衛門は強気な笑みを浮かべると、腰に手を当てふんぞり返って高笑いした。
「なーにこの程度、最強の退魔師団右衛門様にかかれば朝飯前よ」