妖魔滅伝・団右衛門!
第6章 妖魔滅伝・嘉明!
「しかし、蛇に捕まったじゃねぇか。あれも八千代の言う通り、策の内だったのか?」
「ああ、面倒な敵の動きを止めるには、ああやって隙を見せるのが一番だろ? というか……八千代は策だって見抜いてたのか?」
「八千代が下手に手を出すなって言ったから、俺達は見守ったんだ。やっぱり仲のいい奴は、考えが分かるんだな」
「……で、その八千代は?」
団右衛門が辺りを見回せば、八千代の影はない。そして地面には、みっしりと詰まった蜘蛛の子と糸にくるまれた武士が転がっている。
「あれ、八千代、八千代ー!?」
「まさか……この蜘蛛の糸に、さっそくやられちまったか!?」
武士達は八千代を探すが、団右衛門は首を振りそれを止める。
「待て、今はとりあえず嘉明の加勢に急ぐぞ。仮に糸に捕まっても、これぐらいなら命に支障はない。なら嘉明が最優先だ」
外に出て、団右衛門が真っ先に感じたのは、大蛇とも違う大きな妖魔の気配。それはおそらく、蜘蛛の親玉だろうと予測がついていた。
(蜘蛛に捕まった……なら、いいんだけどな)
団右衛門は倒れた武士達の顔を一人一人確認しながら、先へ進む。