妖魔滅伝・団右衛門!
第2章 嘘つき団右衛門
白くしなやかな体には、所々刀傷が残っている。だがその傷は嘉明が美しいだけでない証。人としての魅力を、ますます高めるものだった。
「あんたみたいな体を、侘びって言うのかもな」
「何を唐突に……」
「ん、今流行ってんだろ? 古いもんとか傷の付いたもんが格好いいとか。侘び茶? だったか」
「……よく分からんが、口より手を動かせ。やると決めたからには、早くやらねば決意も鈍る」
淡々としているが、その誘いは直線的で団右衛門の下半身を刺激する。だが嘉明は、自分がどれだけ真正直に性交を要求したのか、あまり自覚はないらしい。誘いと反して、顔は冷静沈着だった。
「はいはい、じゃあ泣くまでやってやるか」
団右衛門は唇を舐めると、嘉明に口付ける。だが抵抗せずとも積極的ではなく、深く侵入すれば舌は縮こまる。やる気のなさに棘が刺さるが、団右衛門は引かずに攻め続けた。
「っ……ん」
逃げても無駄だと言わんばかりに絡み、腰から脇腹にかけて撫でてやると、嘉明はぴくりと跳ねて吐息が漏れる。ただ義務を果たしているだけでないと分かれば、団右衛門は沈んだ気もすぐに取り戻した。