妖魔滅伝・団右衛門!
第2章 嘘つき団右衛門
「嘉明様を助けたいか? と声が問いかけてきたので、訳も分からないのにぼくは答えてしまいました。そしたら、頭に殴られたような衝撃が走って……後は、団さんと出会うまで、記憶がありません」
「問答によって、繋がるきっかけが出来たのかもしれないな。鬼の気配が消えない以上、また問いかけに答えりゃ体を取られるぞ。どんなに気になる事を呼び掛けられても、絶対答えるなよ」
「はい、気をつけます」
「それで、嘉明はオレに無断で飛び出した後どうしたんだ?」
団右衛門は頭の中で時系列を整理しながら、嘉明に話を振る。
「私はお前を城に連れてきて話した後、すぐに廃寺へ向かった。八千代……八千代を乗っ取った八代が出てくるまでは、他の者も確かにいたんだ。しかしいつの間にか皆姿を消し、私は中の異空間へ閉じ込められた。お前が来なかったら、危ういところだったな」
「オレは酒盛りしてたら急に鬼の気配がはっきりと分かるようになったから、慌ててその場所に向かったんだ。で、嘉明を助けた。その後消えた奴らを探ったら、あそこの近くで異空間に飛ばされた痕跡があったんだ。ただ鬼は、殺しはしていない」