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妖魔滅伝・団右衛門!

第2章 嘘つき団右衛門

 
 単純に腕力で勝負になれば、体が大きく力も強い異形に軍配が上がるのは明らか。その上八千代の行方不明自体が八代の策だと気付けなかった時点で、謀略でも遅れを取っていたのだ。鬼を、ただ人を食らうだけの単細胞な生き物として見ていた嘉明の落ち度である。

「団右衛門、鬼について知っている事を全て話せ。知恵は武器だ」

「秘匿事項は話せないけどな、まあいい。鬼ってのは複数の種類がいる。まずは人が怨念を抱え、妖魔に変質したもの。人が死に、黄泉の住人として変質したもの。これらの鬼は単純粗暴で、あの鬼みたいに会話は出来ない。知恵もなく暴れ回るから、今は大体狩り尽くされてる」

「では、八代はどんな鬼なんだ?」

「土地神としての役目を果たすものか、変質したものじゃなく生来黄泉の住人であるか……どちらかは分からないが、多分そんな所だろう。これらの鬼は時に人より回る知恵を備えていて、美しい容姿で人を騙し、攫う事もある。ただ、どの種の鬼であっても、人を食らうのは同じだ」

 人を食らうのなら、土地神だろうが異界の者だろうが共存は出来ない。自分がとんでもないものに狙われていると、ようやく嘉明は芯から自覚した。
 

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