硝子の挿話
第8章 理由
全身に風を受ける心地よさを感じていた。
かなりの距離を三人は走り。周囲は見慣れた供物果実園と呼ばれる場所に辿りつく。此処では名前の通り、神子や巫を始め祭殿に供えるための果物が栽培されている。
流石に走りにくいことも含め、呼吸が苦しくなってきたティアは足を止める。サイティアも周囲に敵意や殺気が無いのを確かめ、呼吸を落ち着けつつ足取りを緩める。三人とも肩で息をつきながら、果実園の鉄柵を乗り越え足を止めた。
場所は水耀宮の中でも離れとして存在しているティアの個室に一番側に広がる果実園にあたる。多少大回りで戻ったとは言え、この場所は狙撃などからティアを守る防御壁の意味をもつ。
「此処まできたら大丈夫だろう…」
後方を再度振り返って確かめるユウリヤに、サイティアも頷きで返した。
「喉、渇きません?」
まるで何も無かったように笑いかけるティアに、ユウリヤは眉間を顰めた。
「私は渇きましたけど…如何ですか?とても美味しいのですよ」
たわわに実のっているのは、漆科の常緑高木にあたるマンゴーだ。生のまま食べるのがティアは好きだが、糖分が高く長期の野営などに、干したマンゴーは手軽に持ち運び出来る非常食として愛されている。
「じゃあ…」
農夫が休憩時に使用する腰かけ石があり、二人が腰を下ろしすとサイティアは側にある木からマンゴーを二つ落とした。
「…ありがとう」
そのまま差し出さしたのをユウリヤが受け取ると、ティアのマンゴーを剥きはじめた。
「しかし…ティアは泣くかと思ったけど…」
ユウリヤは剥かれていくマンゴーを見ながら苦笑する。若干息が荒い。
「私…こう見えても、運動全般は大好きなのですよ。元々が騎士団の出でもありますから」
実践訓練は神子になってから積んだと笑う。今回は久しぶりで、思考に身体がついていけるか心配でしたと繋げたことで、ユウリヤとサイティアの顔をひきつらせた。
かなりの距離を三人は走り。周囲は見慣れた供物果実園と呼ばれる場所に辿りつく。此処では名前の通り、神子や巫を始め祭殿に供えるための果物が栽培されている。
流石に走りにくいことも含め、呼吸が苦しくなってきたティアは足を止める。サイティアも周囲に敵意や殺気が無いのを確かめ、呼吸を落ち着けつつ足取りを緩める。三人とも肩で息をつきながら、果実園の鉄柵を乗り越え足を止めた。
場所は水耀宮の中でも離れとして存在しているティアの個室に一番側に広がる果実園にあたる。多少大回りで戻ったとは言え、この場所は狙撃などからティアを守る防御壁の意味をもつ。
「此処まできたら大丈夫だろう…」
後方を再度振り返って確かめるユウリヤに、サイティアも頷きで返した。
「喉、渇きません?」
まるで何も無かったように笑いかけるティアに、ユウリヤは眉間を顰めた。
「私は渇きましたけど…如何ですか?とても美味しいのですよ」
たわわに実のっているのは、漆科の常緑高木にあたるマンゴーだ。生のまま食べるのがティアは好きだが、糖分が高く長期の野営などに、干したマンゴーは手軽に持ち運び出来る非常食として愛されている。
「じゃあ…」
農夫が休憩時に使用する腰かけ石があり、二人が腰を下ろしすとサイティアは側にある木からマンゴーを二つ落とした。
「…ありがとう」
そのまま差し出さしたのをユウリヤが受け取ると、ティアのマンゴーを剥きはじめた。
「しかし…ティアは泣くかと思ったけど…」
ユウリヤは剥かれていくマンゴーを見ながら苦笑する。若干息が荒い。
「私…こう見えても、運動全般は大好きなのですよ。元々が騎士団の出でもありますから」
実践訓練は神子になってから積んだと笑う。今回は久しぶりで、思考に身体がついていけるか心配でしたと繋げたことで、ユウリヤとサイティアの顔をひきつらせた。