硝子の挿話
第12章 眷恋
海水が乾いた後の手触りがする髪を撫でる。まじまじと見ると、髪を上げている姿よりも幼くなる。逆に年相応ではないだろうか。
「やっぱり可愛いな…」
そう言いながら、腕に嵌められた神子の輝きに口付けを落とす。イルカと神殿が彫られた虹水晶が陽光に反射して輝いていた。
「今だけ、これ俺が預かっていいか?」
「ぇ?」
不思議そうに首を傾げるティアの手に唇を寄せる。
「…いやいい、戯言だ」
苦笑して離れる。距離を与える装束品は、荘厳に美麗な腕輪。距離を感じるのは自分の勝手だと分かっていても、好きにはなれない。
そんな個人的感情を告げるのは、みっともない気がして控えた。
「………預かって下さい」
二つの水晶を繋ぐ金属を外すと、ティアは腕輪をユウリヤに差し出した。
「これは神子の証ではありません…前司祭様の遺品なのですけれど、司祭だという証ではあるのです」
両手に抱いて微笑む。些細な気持ちを掬う姿。ユウリヤは首を振ると、ティアの腕に戻した。
「ごめん…」
「どうして謝るのですか?そんな必要、ユウリヤにはないじゃないですか?」
分かっているのか。分からずに言っているのか。ユウリヤはそっと身体を抱き寄せて確かめるように、やんわりと両腕に力を入れた。
「いつもつけている品で、民衆が『リリティア』を見つけてしまうかも知れない。…だから」
「やっぱり可愛いな…」
そう言いながら、腕に嵌められた神子の輝きに口付けを落とす。イルカと神殿が彫られた虹水晶が陽光に反射して輝いていた。
「今だけ、これ俺が預かっていいか?」
「ぇ?」
不思議そうに首を傾げるティアの手に唇を寄せる。
「…いやいい、戯言だ」
苦笑して離れる。距離を与える装束品は、荘厳に美麗な腕輪。距離を感じるのは自分の勝手だと分かっていても、好きにはなれない。
そんな個人的感情を告げるのは、みっともない気がして控えた。
「………預かって下さい」
二つの水晶を繋ぐ金属を外すと、ティアは腕輪をユウリヤに差し出した。
「これは神子の証ではありません…前司祭様の遺品なのですけれど、司祭だという証ではあるのです」
両手に抱いて微笑む。些細な気持ちを掬う姿。ユウリヤは首を振ると、ティアの腕に戻した。
「ごめん…」
「どうして謝るのですか?そんな必要、ユウリヤにはないじゃないですか?」
分かっているのか。分からずに言っているのか。ユウリヤはそっと身体を抱き寄せて確かめるように、やんわりと両腕に力を入れた。
「いつもつけている品で、民衆が『リリティア』を見つけてしまうかも知れない。…だから」