硝子の挿話
第14章 明言
「生憎、夜をご一緒にする趣味はございませんが、新しい世界を見てみますか?」
微かにもない平らな肌。上にも下にも動かしてみても、それは妙齢な女性の身体ではなかった。
「男の子?」
「ええ、月空宮に男神子が居るなら、水耀宮に男巫が居てもおかしくはないでしょう」
分かってて楽しんでいる。ヒリッシュの身を包んでいるのは、女の装いという訳ではない。性別の垣根のいらない簡素な単(ひとえ)を飾り紐で縛っているだけだ。
細身の少女だとばかり思っていた相手の性別に、セツレイは目を剥いている。ハクレイは唖然としているし、ティアもついさっき知ったばかりだ。
「私は常に身近でティア様を守るために、サイバス神官から乞われた身です。夜の仕事は残念ながら範囲外です」
真面目な顔ではっきりという。流石に呆然としていたセツレイだが、ここで男色も範疇だと思われてはたまらない。
「俺は女性専門です…!でも本当に綺麗だね」
「ありがとうございます」
冷めた笑い方だが、それがとても似合う。ティアはホッとする胸を押さえて笑った。
「でしたら折角いらしたのですから、自由都市のお話聞かせて下さい」
穏やかな笑みでこの場に流れていた空気を一変した。
そのまま二人の話は、深夜まで及び。翌朝セツレイは遅れて出発することになる。この時の護衛がハクレイだったことで一緒に出て行った……。
全員が顔を合わせる予定の星祭まで、後―――僅か。
微かにもない平らな肌。上にも下にも動かしてみても、それは妙齢な女性の身体ではなかった。
「男の子?」
「ええ、月空宮に男神子が居るなら、水耀宮に男巫が居てもおかしくはないでしょう」
分かってて楽しんでいる。ヒリッシュの身を包んでいるのは、女の装いという訳ではない。性別の垣根のいらない簡素な単(ひとえ)を飾り紐で縛っているだけだ。
細身の少女だとばかり思っていた相手の性別に、セツレイは目を剥いている。ハクレイは唖然としているし、ティアもついさっき知ったばかりだ。
「私は常に身近でティア様を守るために、サイバス神官から乞われた身です。夜の仕事は残念ながら範囲外です」
真面目な顔ではっきりという。流石に呆然としていたセツレイだが、ここで男色も範疇だと思われてはたまらない。
「俺は女性専門です…!でも本当に綺麗だね」
「ありがとうございます」
冷めた笑い方だが、それがとても似合う。ティアはホッとする胸を押さえて笑った。
「でしたら折角いらしたのですから、自由都市のお話聞かせて下さい」
穏やかな笑みでこの場に流れていた空気を一変した。
そのまま二人の話は、深夜まで及び。翌朝セツレイは遅れて出発することになる。この時の護衛がハクレイだったことで一緒に出て行った……。
全員が顔を合わせる予定の星祭まで、後―――僅か。