硝子の挿話
第16章 素懐
講堂にはそろそろ寄り抜きで集められた水耀宮の楽師達が静かに鎮座をはじめている。水色の鮮やかな衣装に散りばめられているのは、ブルートパーズの石。髪や額にも同じ石が散りばめられていた。
「ティア…」
舞台裏の通路を進んでいたティアを呼び止めたのは、月空宮の月男(つきなだ)神子であるユア。全体的に線が細い男神子だ。アメジストが額と衣装に散りばめられている。後ろにはちょこんと、良く似た面差しの少女と、護衛隊長の任を今回任されているハクレイを連れていた。
「今日は妹連れて来たから、紹介しようと思って探していたんだよ」
そう言って幼い妹の肩を、軽く押し出すと、幼い少女は深々と頭を下げて挨拶をしてくれる。ユアが以前から助けを求めていた少女だというのは、一目で分かった。
「はじめまして。お初にお目にかかります。ユアの妹でユラと申します。よろしくお願いします」
とても幼い少女とは思えない。しっかりとした挨拶に、ティアは慌ててそれに倣う。
「こちらこそ初めまして。ティアと申します。水耀宮の筆頭姫神子を務めております」
顔を見合わせて微笑する。瞳は輝き澄んでいた。
「…可愛らしい妹さんですね…」
それにとても周囲の気が静かで清涼。これはもしかしたら次代の水姫神子というよりも、その上である星見の力が具現しはじめているのではないか。―――緩やかな直感が胸を刺した。
少女がどれほど身体が弱いかと、切々と訴えかける手紙を貰っていたが、会ってみて痛感する毅さ。
《気力で生きているんだわ…》
「ティア…」
舞台裏の通路を進んでいたティアを呼び止めたのは、月空宮の月男(つきなだ)神子であるユア。全体的に線が細い男神子だ。アメジストが額と衣装に散りばめられている。後ろにはちょこんと、良く似た面差しの少女と、護衛隊長の任を今回任されているハクレイを連れていた。
「今日は妹連れて来たから、紹介しようと思って探していたんだよ」
そう言って幼い妹の肩を、軽く押し出すと、幼い少女は深々と頭を下げて挨拶をしてくれる。ユアが以前から助けを求めていた少女だというのは、一目で分かった。
「はじめまして。お初にお目にかかります。ユアの妹でユラと申します。よろしくお願いします」
とても幼い少女とは思えない。しっかりとした挨拶に、ティアは慌ててそれに倣う。
「こちらこそ初めまして。ティアと申します。水耀宮の筆頭姫神子を務めております」
顔を見合わせて微笑する。瞳は輝き澄んでいた。
「…可愛らしい妹さんですね…」
それにとても周囲の気が静かで清涼。これはもしかしたら次代の水姫神子というよりも、その上である星見の力が具現しはじめているのではないか。―――緩やかな直感が胸を刺した。
少女がどれほど身体が弱いかと、切々と訴えかける手紙を貰っていたが、会ってみて痛感する毅さ。
《気力で生きているんだわ…》