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硝子の挿話

第18章 幽玄

 昔も、同じ言葉を聞いた。
 あの頃は身分や立場で、そう泣きそうに見上げて聞いてきた。
 相変わらず、臆病で怯えた手が伸びてくる。
 由南は力強く、答える為にその手を握った。


「千道千尋、が…いい」

 
 新しい世界で、二人の物語が始まる。夕暮れの影がひとつに重なっていた。
 物語は白紙となり、新しく書き込まれていく。手を繋ぎ沢山の思いや、願いを手にしていく。
 綴られていく一枚を、この瞬間からはじめましょう。




 二人、一緒に―――。











20070929

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