硝子の挿話
第20章 短編~現世編 /直感
何を企んでやがるんだ!? と声を荒げる友人が、一人の男の影と重なった。
「人の縁って不思議だよな…」
「はぁ!? 本当、どうしたんだよ?」
途端に心配そうに顔を覗きこんできた友人の額を指先で跳ねた。
「さて戻るか。置いて行くぞ、G」
「だからいい加減、頭文字で俺を呼ぶなっつーんだよっ! 俺がまるで台所の敵みたいじゃねぇかよっ」
言葉と同時に足が出てくる。そういうところが全く変わっていない。御供田儀一(ごくた ぎいち)頭文字がどちらもGであることを所以してのことだったが。…
最初に感じたものは、やはり縁に通じているのだろう。まだ多少の混乱は残っていたが、今の自分を十分に取り戻せた由南は内心で小さく嘆息した。
過去に支配される気はない。けれど人の縁が繋がっている事実を、この後の由南は知ることになる。数日後には、同じクラスのバンド仲間から、千遼を紹介されやはりその変わらない何かに惹かれることとなったあたりで。
「意外と…干渉されている気がしないでもないな」
独りで呟いてため息をつくことになるのである。そしてそれは始まりの一歩を踏み出すための、〇地点であることを痛感するのであった。
おわり
「人の縁って不思議だよな…」
「はぁ!? 本当、どうしたんだよ?」
途端に心配そうに顔を覗きこんできた友人の額を指先で跳ねた。
「さて戻るか。置いて行くぞ、G」
「だからいい加減、頭文字で俺を呼ぶなっつーんだよっ! 俺がまるで台所の敵みたいじゃねぇかよっ」
言葉と同時に足が出てくる。そういうところが全く変わっていない。御供田儀一(ごくた ぎいち)頭文字がどちらもGであることを所以してのことだったが。…
最初に感じたものは、やはり縁に通じているのだろう。まだ多少の混乱は残っていたが、今の自分を十分に取り戻せた由南は内心で小さく嘆息した。
過去に支配される気はない。けれど人の縁が繋がっている事実を、この後の由南は知ることになる。数日後には、同じクラスのバンド仲間から、千遼を紹介されやはりその変わらない何かに惹かれることとなったあたりで。
「意外と…干渉されている気がしないでもないな」
独りで呟いてため息をつくことになるのである。そしてそれは始まりの一歩を踏み出すための、〇地点であることを痛感するのであった。
おわり