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硝子の挿話

第27章 泡沫


昔に帰りたい――‥。

ただ無邪気に纏わりつき。手を伸ばし彼のその手を掴んで前に進むことが普通で。振り返れば優しい笑顔を向けてくれる。ただ大好きで、仕方なかった。―――ずっとそんな大好きを持て余すしかなかった自分の生き方。
それを恥じるつもりはないけれど、誉められる生き方でないことは知っている。

言葉に出来ないでいた全てを、この瞬間まで重ねてきた気持ちを、形で紡ぐこと出来ただろうか。
彼の問いに、自分は返せたのか。

濁っていく世界へと、この身を還すけれど―――――



愛している。
何もかもを。
切なさも。
愛しさになって。
君の側に還る。



見えた水鏡の世界に怯えて、自分の肩を抱きしめることで不安と戦う姿。溜息の強さが異様な神殿の空気に溶けることに唇を噛んでた。
君の描く未来は、とても透明で毅く―――自身も望んだ未来絵図だった。
遠く輝く世界に手を伸ばしたまま、全ては白く灰になり沈んでいく。
終焉を見ている筈の両目は、もう還ってはこない日々を追いかけていた。


君だけのために居た。
君だけの真実は、誰の真実でもなく。
自らの真実だって、どれだけ言いたかったか。
孤独に縛られないで欲しいと、伸ばした指先は触れることが出来なかったけれど。
終わるなら、もう終われるのならば―――何も怖くない。


四苦八苦で話を立てました;この話はご存知な方は知っている通り激しく裏のみの作品だったんでそれを、せめて15禁に抑えようと奮闘しつつ書きます。この話は管理人自身が二番目に強い思い入れがあるからなんですけどね><;(一番はやっぱり硝子なんだけど^^)

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