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硝子の挿話

第1章 夢幻

 いるはずのない『彼』に向けて微笑する。

「でも…きっと、どこかで逢えますよね」

 凛とした横顔を見るのが好きだった。
 巡り会う度に、好きになる。
「でも…少々…暗い……ですね」
 自分で突っ込んでみる。静かな闇が映える中、こうしてただずむのが、千尋にとって一番の心の開放となる。深夜なら家族にも知られない。
 淋しげに揺らぐ瞳を軽く伏せる。風に流れる髪が、空へと棚引いていくのを眺めた。



 昔もこうして佇んでいた気が………した。













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