箱
第1章 箱
「まさか―――――…
彼以外も…あるんですか?
そんな箱が―――…」
私は、クスッと笑った―――…
あるに決まっているのに…
当たり前の事を聞く警官の質問が…
可笑しかった…
「…ありますよ?
気に入ったら…箱に入れる…
好きな時に眺めて――…
癒してもらうんです…」
私は―――…
自分の部屋を思いだし…
ふと考える――――――…
「でも…可笑しいんです…
道脇正さんの前に……
髪の毛の綺麗な女性を…箱にしまった気がしたんですが…
その箱が――――――…見当たらないんです…」
彼女の名前は――――…
忘れてしまったわ…
綺麗な髪だけが印象深くて…
「…女性―――――…?」
「ええ……
彼女の髪は綺麗で……
私のパサパサな髪が憐れになるくらい………
羨ましかったわ―――――…
だから……綺麗な髪が…欲しくて―――――――…」