
愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
私…あの人と、シたんだ…。
酔った勢いとかじゃなくてもっと、時間を重ねてから、するつもりだったはずの初体験。
なのに、あっさりと、酔った勢いでシてしまった。
「ここ、どこなの…」
帰り道も分からないまま、
ザーザーと降る大雨の中をただただ、
歩いていた。
「藍っ! …こいつの家までお願いします」
パーカーを羽織って傘を持った彼は、タクシーをとめると財布からお金を出した。
そして私に傘を持たせた。
「そんな、悪いです」
「いいから。傘は今度返してもらうし。じゃ、気をつけろよ」
浅桐先輩は、それだけ言ってビシャビシャと音をたてながら走っていった。
私はその背中を眺めた。
