愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
「今日は俺ら、恋人同士。わかった?」
「はい!?」
「敬語もナシ。あと名前で呼べ」
ホントにわからない。
どうして私にそんなことをさせるのか。
「け、恵斗…?」
「何?藍」
笑顔で応える彼に、不覚にも少しキュンとする。
ハジメテを奪われた彼なのに、私、段々…惹かれていってる。
「…クレープ、食べたい」
わがままお嬢様、と言いながらも店の中に入っていく。
「どれ?」とガラスケースの中を指差す恵斗。
迷うことなくバナナチョコを選ぶ私に、ふっと微笑みながら、同じものを2つ頼んだ。
「け、恵斗もバナナチョコ好きなの?」
「小さい頃―…よく食べたから」
その間に何が隠されているのか、私にはまだわからない。
いつかわかる日が、来るのだろうか。