愛の裏側
第2章 *奪われたハジメテ
クレープの最後の一口をぱくっと口の中へ運ぶ。
と、じっと私の顔を見る恵斗。
「な、何?何かついてる?」
にやりと笑いながら、ずいっと顔を近づけてくる。
口角の辺りに、何かが触れた。
「チョコ、ついてた」
にやりと笑いながら口を指で拭う仕草が、彼のもともとのドSオーラが増す。
浅桐先輩って、ホントにわからない。
怒ったり、笑ったり、悲しげになったり、
どれが本当の浅桐先輩なのか。
「顔真っ赤。タコじゃねーんだから。 …ほら、行くぞ」
そう言って私の手を引く彼。
私が知らない浅桐先輩を、もっともっと知りたい。
私が、笑顔にさせてあげたい。
こんな気持ち、初めてなんだよ。