
愛の裏側
第3章 *すれ違う心
ようやく手を放してくれたと思ったら、さっきまで強く噛み締めていたせいか、蒼くんの唇から血が出ている。
彼自身は気付いていない様子。
「蒼くん。血、出てる」
「…ホントだ。 じゃあ―…」
「っ―――!?」
頭をぐいっと自分の顔に近づけると、さっきとは違う長いキス。
息が苦しくなって、酸素を吸おうと少し口を開けると、そこに何かが入ってきた。
蒼くんの舌。
「んんっ…! はあっ、はあっ」
まだ息が整わない私を見ながら、彼はにやっと笑った。
「血の味、した?」
キッと睨みつける。
彼はそれにすら怪しい笑みを浮かべた。
「何、私をからかいたいの!?」
「…ムカつくから、あんた」
さっきとは全く違うその生意気な態度に、苛立ちを覚える。
彼の真っ直ぐな目から出る威圧感に、私は顔を背けた。
