
愛の裏側
第3章 *すれ違う心
「私が何したって言うの…」
そう小声で呟きながら、私は屋上を後にしようと一歩踏み出した。
と、ドンっという衝撃と、股の間に挟まれた彼の片足。
「俺以外の男見てる藍にムカつくんだよ」
ぐ、とより強く押し付けてくるその足に、私はたじろいだ。
私の目を見る怖いのに優しいその目が、更に怖い。
“俺以外の男見てる藍にムカつく”?
「私が誰見てようと蒼くんには関係ないよね?」
「…俺はな――…」
何かを言いかけて、やっぱやめた、というように私から離れると、
すぐにさっきのような女子のような雰囲気に戻った。
今の子って怖い…。
「じゃあ、先輩。また…その、話してくださいっ」
「ごめんね、二度と嫌です」
最後にふっと笑うと、私の腕を弱々しく掴み、屋上のドアを閉めた。
