
愛の裏側
第3章 *すれ違う心
「…で、何で泣いてたんですか?さっき。…あの男に泣かされたとかだったら俺―…」
「ち、違う違うっ!私が勝手に泣いてただけだから…気にしないで」
言葉の続きが怖くなって、私はすぐに否定した。
泣いてたの…やっぱ見られてたか。
浅桐先輩にも、もしかして見られてたりして…。
浅桐先輩にだけはどうしても迷惑をかけたくない。
立ち止まる蒼くんに、私は首をかしげた。
「目もよくなってきたし、そろそろ戻らないとですね、先輩」
語尾に音符のマークがつきそうなほどのテンションでそう言った蒼くんとは裏腹に、
私は絶望を感じていた。
今まで至って真面目に授業を受けてきた私がサボったなんてこと…
ましてや委員長の私が…。
まだそんなに時間たってないよね!?
と、教室へ戻ろうとしたときだ。
授業終了のチャイムが鳴ったのは。
