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闇夜に輝く

第18章 サイドストーリー 〜尊と楓〜

実は楓にとってはボーイに自分からアプローチしたのは初めてだった。
そして何も変わらずに挨拶してくる男も初めてであった。

楓が上目遣いをすればほとんどの男性は自分に興味を示してくれる。
それが通用しないのはこの業界が長い店長や熟練の黒服のみ。ただそんな人達であっても、楓が思いっきり甘えれば嬉しそうな顔をしてくれる。
それが入ったばかりのボーイにここまで無関心にされるとは思わなかった。

番号を渡してから2日間はワクワクしながら連絡を待った。
しかし一向に連絡をしてこない。なのに店では屈託もなく挨拶してくる。
キャバ嬢のプライドにかけてこのままでは終われなかった。そしてますます、タケルに興味がわいた。

そこで今度は

『仕事が終わったら○○駅前のファミレスに来てね』

と店から少し離れた場所を選んでそう書いた紙をまたこっそり渡した。
楓はボーイの仕事が終るのは朝の5時~6時と予想し、5時過ぎからそのファミレスで待った。

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