闇夜に輝く
第18章 サイドストーリー 〜尊と楓〜
楓は女の武器が全く通用しないことを自覚しつつも、若干拗ねた様な演技でタケルに話す。
「まったく!そうなら電話くれればよかったじゃん。もしかして電話番号を書いた紙をなくしたとか?」
「紙は持ってるんですけど、俺、携帯持ってなくて。伝えようにも店では話しかけれないから」
「……は?」
今時、携帯を持ってないとか楓には考えられなかった。
「え?じゃぁどうやって友達とか連絡取ってるの?」
「友達、いないんです。家族とかにも何年も連絡してないですし」
楓は自分の常識がタケルには全く当てはまらないと感じた。
ふと、タケルを見ると果たして本当にそこに存在しているのか不安になるような佇まいであった。
浮世離れという言葉がこれほど当てはまる人を見たのは初めてだった。
「もう何か、色々と無理させちゃってごめんね」
「いや、俺の方こそ待たせちゃってごめんなさい」
タケルは本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
楓はその姿を見ながら唖然とする。
なんなのだろうこの男は。
お金がない事とか、携帯持ってない事とか、友達がいない事とかは取り繕うことなく平気で言えるのに、私を待たせた事には泣きそうなくらいの表情で謝ってくる。
今まで沢山の男の人を見てきた筈なのに、こんな不思議な人はいなかった。
「まったく!そうなら電話くれればよかったじゃん。もしかして電話番号を書いた紙をなくしたとか?」
「紙は持ってるんですけど、俺、携帯持ってなくて。伝えようにも店では話しかけれないから」
「……は?」
今時、携帯を持ってないとか楓には考えられなかった。
「え?じゃぁどうやって友達とか連絡取ってるの?」
「友達、いないんです。家族とかにも何年も連絡してないですし」
楓は自分の常識がタケルには全く当てはまらないと感じた。
ふと、タケルを見ると果たして本当にそこに存在しているのか不安になるような佇まいであった。
浮世離れという言葉がこれほど当てはまる人を見たのは初めてだった。
「もう何か、色々と無理させちゃってごめんね」
「いや、俺の方こそ待たせちゃってごめんなさい」
タケルは本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
楓はその姿を見ながら唖然とする。
なんなのだろうこの男は。
お金がない事とか、携帯持ってない事とか、友達がいない事とかは取り繕うことなく平気で言えるのに、私を待たせた事には泣きそうなくらいの表情で謝ってくる。
今まで沢山の男の人を見てきた筈なのに、こんな不思議な人はいなかった。