無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

そろそろ始まる時間かと思っていると、サイトの1番離れた場所がにわかに騒がしくなった。

そこに現れたのは甚平を着た50代の男性と、アロハシャツで顎髭を綺麗に揃えた30代前半の優しそうな男性。
そしてその二人を護衛するように黒いスーツを着たガタイの良い人達の集団が大きな荷物を持って近づいてきた。

血の気の多いボーイ達が俄かに喧嘩腰になりかける。
しかし、その集団のあまりの迫力と、場違いな空気にその後どうしていいかわからないような感じでいる。

その雰囲気に優矢君がいち早く気づいた。

「あ！おっちゃ…、後藤さん！それに松山さん！どうしたの？」

そう言って甚平姿の人にフレンドリーに近づいていく。

そしてその様子に気付いた執行部の人達が次々と立ち上がる。
ザワザワと不穏な空気がテントサイト内に広がる。

「おお、優矢君いたか。やっぱりこの集団でしたね。おやっさん」

そうアロハシャツの男が甚平姿の人に声をかける。
そして優矢君が甚平姿の男の前まで到着すると、

「これ、少ないが差し入れだ」

そう言って優矢君に白木の木箱を渡す。そして甚平姿の男の人が蓋を開けた。

「おおー。伊勢海老じゃん。なんで？」

おが屑の中から現れた生きた伊勢海老にビックリする優矢君。

「まぁ、いいから。とりあえず100匹な。おーい、お前ら、ここに置いてってくれ」

そう後ろの厳ついスーツ姿の人達に指示すると、木箱がどんどん運ばれてきた。