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闇夜に輝く

第25章 爆弾処理マスター

その時、増田さんがカウンターに来た。

「杏奈、来月から海斗が担当でいいか?さっき話をしたら西野もそれでいいって…」

増田さんが言い終わる前に海斗が反応する。

「ちょっと待ってください。杏奈さんは西野さんがイヤになった訳じゃないんです。しっかりして欲しいだけなんですよ。杏奈さんだって…」

「うっさい!もうエエわ!!!」

そう言って杏奈さんは泣きながら更衣室の方へ走って行ってしまった。

慌てて追いかける増田さんと海斗。
更衣室に駆け込んだ杏奈さんに向かって海斗がドア越しに話しかける。

「ちょ、待ってよ。ちゃんと話そうよ」

「イヤや!みんな、杏奈のコト面倒やって思うてるんやろ!もう辞めたる!」

「そんな事ない。面倒だと思ってたらこんなに話さないって!今まで頑張ってやってきたんじゃん。悔しくて泣いたり、本気で怒ったり、明るくてみんなを楽しくさせてくれたり、そういうのが杏奈さんの良さで…」

「もー!うざいわ!話しかけんな!」

その時後ろから肩に手をかけられる。
増田さんが無言でもういいとジェスチャーする。

海斗はそれでも引き下がれなかった。

「一言だけ言わせて。俺がもし杏奈さんの担当になったら面倒だなんて絶対に思わない。適当になんてしない!杏奈さんの良さを引き出せるように一緒に考える。笑って仕事して、上手く行かなきゃ悩んで、それを乗り越えられたらまた喜んで。そうしていく事が俺の役目だと思ってるから!」

返事は無かったが、それだけ言ってカウンターに戻った。

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