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闇夜に輝く

第25章 爆弾処理マスター

杏奈さんがエレベーターに乗ってしばらくして増田さんがフロアへ戻ってきた。

「ふーっ、疲れた。誰かお茶くれ」

何事もなかったかのようにいつものVIP席に座る増田さん。
海斗が緑茶をグラスに入れて持っていき、そのまま増田さんの向かいに座る。

「杏奈さんにあんな事を言っちゃって大丈夫なんですか?」

「ん?まぁ、まだ海斗には難しかったか」

「はい。結局、今の俺じゃ解決出来ないと思います」

「担当はな、優しいだけじゃダメなんだよ。喜怒哀楽が大事。そしてそれを使い分ける事。感情に左右されずに効果的なタイミングでその感情が表せるかを計算しないとな。西野は楽しいだけ、海斗は優しいだけ。杏奈はそれに甘えだした。さっき話しているうちにまだ担当でもない海斗にまで無愛想になり始めた。だから調子に乗る前にがっつり言ったんだよ」

「それでそのまま辞めちゃったらどうしてたんですか?」

「ん?どうもこうもない。それまでだよ」

「そ、それまでって…。杏奈さんはAランクキャストですよ?」

「あのな、黒服はキャストに対して下から目線の振りはいい。だけど本当に下から目線になったら舐められる。そうすると他のキャストにも影響する。だから黒服に舐めきった態度を取るキャストなら俺はクビにする。それが例えAランクキャストだろうが関係ない。そんで新しい女を自分でスカウトしてくる。代わりはいくらでもいるって覚悟を持っていないと、黒服として一人前とは言えないんだ」

「確かに俺には出来ないです。俺は杏奈さんの代わりとなるキャストを探してはこれませんから。だからきっと増田さんの様に強くは言えないです」

最近黒服として一人前になったと勝手に勘違いしていた。まだまだ、足りない事だらけな事を改めて気付かされた。

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