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闇夜に輝く

第26章 サイドストーリー 若菜の夏休み

そんな日々が何年も続いた。

中学生になった年の元旦、お家が騒がしかった。
最初は何が起きているのかわからなかった。
『自己破産』の意味もよく分からなかった。
けど、またお家を追い出されるんだと知った。
けどその時、お兄ちゃんがボソリと言った。
その言葉は一生忘れないと思う。

「俺と2人で住む?」

天から射す一筋の光のような衝撃だった。
必死にその言葉にすがりついた。
神様に誓った。絶対に迷惑をかけません。ワガママ言いません。
だからこの言葉を本当のものにしてくださいって何回も。

そうしたら願いが叶った。

お兄ちゃんと一緒に新しい家に来た日。
初めて自分の部屋というものを手に入れて、その部屋で泣いた。
お兄ちゃんは私を地獄の毎日から救ってくれた恩人。
穏やかで安心できる毎日がとても幸せ。これを壊したくない。それは今も変わらない。

新しい中学に転校した頃からやっと私が人とは違う環境にいることをハッキリと認識した。
だけど誰にも言えなかったし知られたくなかった。
市の職員さんもたまに様子を見に来るけど、お兄ちゃんが夜いない事は伝えてない。そうしたらまたどこかへ連れて行かれてしまうから。
この生活は何が何でも守りたかった。その為なら何もいらない。友達でさえ。

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