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闇夜に輝く

第27章 担当替え

すると増田さんはテーブルに置いてあるキャスト表を手に取ると、説明してくれた。

「アリの社会ではな、2割の全力で働くアリと6割の普通に働くアリ、そして2割の怠けるアリに分かれてるらしいんだ」

「へー、そうなんですか。全員働いてる訳じゃないんですね。それが?」

「じゃあその全力で働くアリだけを集めて群れを再構成させるどうなるか。不思議なことに結局また2割のアリが全力で働いて、6割がそこそこ、2割が怠けるんだと」

「それは興味深いですね。それまで全力で働いていたアリなのに、急に怠けるアリに変わってしまう個体がいるって事ですよね?」

「ああ、全力で働いているアリの中にも2種類いるってことだな。どんな環境でも全力で頑張れる奴と、環境が自分に合わなかったり、一緒に働く仲間に左右されると頑張れない奴」

「うーん、高校の時に成績がトップの奴が東大に行ったものの、そこには全国の高校のトップが集まっていて、今まで通りの順位が保てずに挫折してしまうって話を聞いたことがありますね。それと似ているのかなぁ」

「そんな捉え方も出来るかもな。俺はさらにこう考える。アリの社会に限らず、どんな組織でも2割ぐらいしか優秀な人材は育たないと」

それを聞いた海斗はこのたとえ話の本質を探る。

ニューアクトレスのキャスト達は、どんな子でも街中で見かければ、みんな飛び抜けて可愛いい部類に入る。
男の人とすれ違いざまに振り向かれる事も多いだろう。
だからと言ってキャスト全員をこの店で超売れっ子にするなんて事は出来ない。
そこには能力の差、仕事意識の差、競争意識の差が必ず生まれる。

結局この業界は、その店のトップクラスのキャスト数人の頑張りによって、成り立っているのだ。

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