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闇夜に輝く

第30章 スカウト

そんないきさつを聞きながら電車に揺られる。

「へー、女の子同士って大変なんだねぇ。でも、東京に出てきたばっかりなら分からなくてもしょうがなくない?」

「何かねー、田舎者ってバカにされるんじゃないか心配で強がっちゃう」

「そうなんだ。でも俺、ずっと東京いるけど知らない街とか一杯あるよ。代官山とか広尾とかわからないし。俺が働いてる街でもたまに迷うもん。もう10ヶ月以上経つのに」

「え?海斗さんって大学生じゃないの?」

「うん。今年の1月に辞めて今は働いてる」

「そーなんだー。どうりで大人っぽいと思ったんだよね」

「まぁ、老け顏だからね」

「あはは、老け顏って。今は何してるの?」

「キャバクラで働いてるよ」

「へー、ボーイさんなんだ。あんまりそう見えないね」

「うん、よく言われる。キャストさんかと思ったって」

「そっち?あはは、ないでしょ。あ、でも化粧したら綺麗になりそう。肌キレイだし」

「俺の2丁目デビューも近いかも。会話の間に『どんだけー?』って挟むようになったら察してそっとしといてね」

「あはは、分かった」

渋谷へ到着する頃には、お互いかなり打ち解けることができた。

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