闇夜に輝く
第32章 戦場のメリークリスマス
深夜帯になってくると泥酔状態のキャストも出てくる。
それはそうである。
どの席でもシャンパンを飲み、少なくとも2〜4本分は一人で飲んでいるのだから。
もう客もキャストも黒服も酔っ払いである。
シラフなのはキャッシャーの洋子さんとホール係の3人のみ。
一番責任のない優矢君は盛大に飲んで酔っ払っていた。
優矢君のためにシャンパンをオーダーする客もいるので、瓶ごとラッパで一気したりしている。
そんな行為も許されてしまうほど、優矢君にはお客様からの人気がある。
海斗は業務をこなしつつ、酔い潰れたキャストの介抱もしていた。
理子さん、モエさん、ミリオさん、はどれだけ飲んでも少し陽気になるぐらいで変わらない。
楽しそうにしながら、黒服に小声で何か頼む時はとても冷静だし、他のキャストを気にする余裕もある。
どんだけ飲んでも、潰れなかったり、飲む事に夢中になったりしないのも一流キャストの条件なのかもしれない。
楓さんは目がトロンとしつつもしっかりと接客している。
しゃべっている事は意味不明だが、持ち前の色っぽさに磨きがかかり、お客さんへのデレ方が上手い。
もちろんお客さんもデレデレ。
だけど、客がトイレに立ったり、自分がトイレに行く振りをして席を離れた時には、苦しそうな顔をしながらも金額の確認をしにくる。
杏奈さんはちょっと面倒くさいタイプ。
飲みだすと止まらなくなり、かなりのハイペースで飲み続ける。
そしてどんどんお酒の作り方が雑になり、しゃべり方も横柄になる。
でも持ち前の関西系マシンガントークは全開。
ちょっと強引な接客だがお客さんも時間を忘れて楽しんでいる。
ただ、杏奈さんは酔っ払うとあまり周りが見えなくなる。
そういったところがまだまだ若さなのかも。