闇夜に輝く
第36章 スノボ旅行
昼頃、また4人で合流し、一緒に昼食をとる。
海斗が2人に上達具合を聞いてみた。
「若菜、上手くなったか?」
「全然ダメだぁ。ターンしようとするとスピードが出すぎて転んじゃう」
「そっか。最初は木の葉落としでいいんじゃない?無理してケガしたら大変だから」
「でも、山田さんはすでにターンが出来てきてるから悔しい!」
どうやら若菜は同じ初心者の山田君には負けたくない様子。
海斗は山田君の普段の仕事ぶりを思い出しながら呟く。
「山田君は顔に似合わず、カンがいいからなぁ…」
「ちょ、顔に似合わずって、ヒドくないすか?それに若菜ちゃんもかなり上手くなりましたよ。横滑りだったら俺より早いですもん」
山田君がフォローを入れると、若菜も得意げな顔をする。
「そうなの。私、横滑りめっちゃ早いよ。まぁ半分は止まれないだけって噂もあるけど」
「ははは、あぶねーな、暴走娘じゃん」
「大丈夫。いざという時は山田さんが止めてくれるはずだもん!」
「えー⁉︎ 俺もまだあんまり動けないよ?まぁ頑張るけど」
「頼りにしてます」
若菜は山田君にそう言ってにっこり笑う。
山田君は持っていたカレースプーンをカレー皿に刺したまま固まってしまった。
それを見た優矢君が突っ込む。
「いやー、若菜ちゃんも大人の女になったねぇ。そりゃ山田さんもこんなに可愛く頼られちゃったら上手くなるよね」
海斗も茶化すように乗っかる。
「なるほど、男にはカッコつけたいって気持ちは上達に有効だな。俺も頑張らないと山田君に抜かれちゃうなぁ」
「い、いや、まだかろうじてターンが出来るだけですって」
山田君は顔を真っ赤にしながらカレーを頬張り、豪快にむせていた。
それを見てみんなから笑いがおきる。
それぞれのペースでスノボを楽しむことが出来ているようだ。山田君も誘って本当に良かった。