闇夜に輝く
第36章 スノボ旅行
改めてナナさんをじっくりと見る海斗。
派遣で来ていた時も感じていたが、物怖じしない会話スキルは好感が持てる。
顔もスタイルも平均以上でヘルプのみだともったいないと感じていた。
先日、手伝いに来てもらった時もレギュラーの子を差し置いて場内指名をもらっていたくらいだし。
ただ、ナナさんは派遣会社からのヘルプなので客との番号交換や連絡を取り合うことは禁止されていてその場限りの接客しか出来ない。
海斗はナナさんがニューアクトレスのレギュラーとして働いてくれたら、かなりの戦力となる様に思えた。
このまま別れてしまうのはもったいないと感じて少し探りを入れてみる。
「一緒に来てる友達ってみんな女の子?」
「はい。いつもよく遊んでるんです」
「ちょっとお願いがあるんだけどさぁ。よかったら合流しない?」
「えーと、私はいいんですけどみんなに聞いてみないとわからないですねー」
「あー、だよねー。いやさぁ、うちらも4人なんだけど、男3人と俺の妹でさ。妹はまだ中学生で大人の男に囲まれてるより女の子の方がまだいいかなって思って。ごめん、無理だったら全然いいんだ」
「あ、そういう事ですか。てっきり程のいいナンパかと思っちゃいました。そう言う事なら他の子にも聞いてみます。ちなみに男の人達はどんな人ですか?」
「店のボーイの山田ってのと、店長の従兄弟の優矢君と俺の3人だよ」
「え?優矢君いるんですか⁉︎先に言ってくださいよ〜。絶対合流します!ってゆーかみんなとても喜ぶと思います。ちょっと待ってて下さい。話してきます」
優矢君という言葉が出た瞬間にそれまで迷っていたナナさんの態度が変わる。
今度は海斗が逡巡する番になってしまった。
「あ、ちょ、ちょっと待って!一応こっちでも聞いてみるから。俺が勝手に決めちゃうのもアレかなと思うし」
「あ、そうですよね。じゃあ携帯の番号教えるので連絡してもらえますか?」
「うん、分かった。後で連絡する。ありがとね」