闇夜に輝く
第36章 スノボ旅行
海斗はナナさんと連絡先を交換し外でタバコを吸いながら、早まったかなぁと思い始めてしまった。
ニューアクトレスのある繁華街でよく遊んでいる女の子達にとって優矢君の人気が絶大な事をすっかり忘れていた。
優矢君もミーハーな女の子の相手は面倒だろうし、女の子とスノボに行こうと思えばいくらでも相手はいるはずで、今回はそういうの抜きでスノボを楽しもうと思ってたかもしれない。
山田君にとっても若菜と距離を縮めるチャンスだし、俺がそれを邪魔してると思われてもなぁ。
それに若菜にも気を使わせてしまうかもしれないし。
そんな事を考えながらタバコを吸っていると優矢君も喫煙所に来た。
「あー、優矢君。相談なんだけど、さっき派遣で店を手伝ってくれた女の子と偶然会ってさ。その子達と合流してもいいかな?」
「え?偶然に?」
「うん。今さっき。俺も最初気づかなくってさ。クリスマスの営業の時に来てくれてた、場内指名入った子」
「マジで?それってすごくないすか。ここスキー場ですよ?それにあの時に場内入った子ってナナさんですよね。あの子は派遣の中でもかなり人気ありますよ。だけど大学が忙しくてレギュラーで働けないから自分の都合がいい日だけ働くスタイルなんですよね。だからどっかの店に引っ張るのが中々難しいんですよ。それにしても海斗さんって不思議な人だなぁ」
「え?なんで?」
「だって、偶然街で会うなら分かりますよ。でもここスキー場ですよ。しかもこんな広いゲレンデで。ほんと、海斗さんっていつも何かを起こしてくれるから一緒にいて楽しいですねぇ。絶対に合流すべきですって!」
「あれ?優矢君意外と乗り気だね。いや、優矢君に迷惑かと思って一応保留にしてあるんだけど。それに若菜達もどう思うかなって」
「俺はそんなイベントは嫌いじゃないですよ。ナンパするよりよっぽど劇的じゃないですか。そーゆーのは大歓迎ですよ。なんなら山田さんと若菜ちゃんは二人で滑っててもらってもいいんじゃないですかね?」
「んー、優矢君がいいならそうしよっか」
あっさりと優矢君の了解を得てしまい、拍子抜けだった。