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闇夜に輝く

第37章 裏引き


海斗はその事について根気よくミーティングを重ねていた。

「つかささんって大らかすぎない?」

「え〜?なんでですかぁ〜?」

「何か酔ったお客さんに抱きつかれても嫌がったりしないから」

「あ〜、でも減るものじゃないし〜、多少はしょうがないのかなって思いますよ〜?」

「うーん、その心構えはいいんだけどね。色々と触られても何も抵抗しないのはどうなのかなぁって思うんだよね」

「え〜?でもドレスの中に直接手を入れられたりする時はちゃんと断ってますよ」

「そこなんだよね。その意識だと服の上からなら大丈夫みたいにお客さんは勘違いするからさ。それにお客さんは駆け引きを楽しみたいのよ」

「駆け引き?」

「うん。会話の駆け引きはもちろんなんだけど、どうやったらこの子と仲良くなれるのか、自分が触っても許されるのか、距離が近くなるのかって事も含めて駆け引きしてるの。キャストもそれを演じなきゃダメなんだよ」

「だけど、軽くお触りを許した方が指名につながる気がするけどな〜」

つかささんの心構えが垣間見えた。

結局、身体を売ることに抵抗は無いが、身体を売っていると見られる事には抵抗があるから、セクキャバや風俗ではなくキャバ嬢として働きたいだけなのだと。

そして他のキャストの反感を買う理由が分かった。

キャバ嬢、特にAランク級のキャストにとって、この仕事は身体を売る商売ではなく女を売る商売であると思っている。

その為にエステに通い、ネイルやオシャレに気を使う。
店のドレスではなく、自分で選んだ高いドレスを身にまとい、会話の話題に事欠かない様に色んな事に興味を持って話を聞いている。

そうして日々女を磨いているのである。

つかささんにはその辺の意識が低い。
確かに顔はキレイだが、それだけ。

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