闇夜に輝く
第37章 裏引き
海斗はさらに話を掘り下げていくことにした。
「じゃあ、何でお客さんはココが風俗やおっパブじゃないって知ってて来るのかな?無遠慮に願望を満たしたかったり、性欲を発散したいだけだったらそういう所に行くと思うんだ。お客さんの中には堂々とお触りが出来ない場所でバレないように触りたいって願望がある人もいるかもしれない。だけど、本当はそうじゃない。渇いているのは心の部分なんだよ」
つかささんは 『風俗』 という言葉に表情を曇らせる。
「…海斗さんも知ってるんですね。私が北海道時代、どんな店で働いていたか…」
「うん。詳しくは知らないけど、なんとなくね。でも今はニューアクトレスのキャストだし、この店で必要な人材だと思ってるよ。それにつかささんだってキャバ嬢として働きたいんだよね?」
「ん〜、そうですね。ここはいいお客さんが多いし。でも指名や売り上げを伸ばさないといけないのはツライです。疲れちゃうし」
「疲れるのはツライよね。俺も好きじゃない。だけど無意味に疲れるのはもっと嫌だな〜って思うんだよ。待機席でじっと座ってたり、丸一日ヘルプ周りしかしてなくても同じ様に疲れるじゃん。だったらより稼げる働き方のほうがいいかなと思うんだ」
「でも頑張ったからって、必ずしも売り上げが上がるとは限らないじゃないですか〜。そしたら無駄じゃないですか?」
これだけヤル気の無さを包み隠さずぶっちゃけられるのはある意味清々しい。