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闇夜に輝く

第37章 裏引き



けれどこれで終わっていては担当の意味がない。
海斗はアプローチの方法を変えてみる事にした。

「確かに結果って後から付いてくるし、すぐには報われないから無駄に感じてしまうのかもね。じゃあさ、つかささんって中学生の頃とメイクの仕方って上手くなった?」

「そりゃ、中学生の頃とは全然違いますよ〜」

「じゃあいつから上手くなったの?」

「えー?いつからかなぁ」

「きっといつの間にかだと思うんだよね。毎日少しずつ上手くなっていったと思うし、雑誌や周りの人のメイクを参考にした事もあったと思うんだ。だけど最初は左の眉が上手くいかなかったり、ビューラーが上手く使えなかったりしたと思うんだ。その時にメイクをやめてしまえば、未だに中学生のメイク技術のままだったはず。仕事もそう。チャレンジし続けることでしか成績は安定して上がってはいかないからさ」

「はぁ。でも接客って苦手なんですよね〜」

「大丈夫。接客や会話にもパターンが結構あるよ。それに気付けるかは普段から他のキャストがどんな風に接客してるか、会話してるかよく見てみるといいよ」

海斗はつかささんのキャラに合うように、客との会話のキャッチボールのパターンを教えていく。
つかささんの場合はギャグで返すよりも少しとぼけた発言で返してしまった方がキャラに合っている。

そうして普段から客がよく口にする会話の返しをある程度ストックさせた。


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