闇夜に輝く
第38章 同伴トラブル
海斗は面倒に思いながらも店内にインカムを飛ばす。
もちろんその様子を男に気付かれないように細心の注意を払いながら。
『えーと…、店内取れますか?』
『どうした?』
すぐさま増田さんから返事があった。
『店の前でつかささんが不良っぽいのとトラブってます』
『えー、何それ。でもまだつかさは出勤時間ではないからこっちから介入する事は出来ないな。どんな感じなの?』
『ベンツの回りをぐるぐる回りながら喧嘩してます』
『なんだそりゃ。つかさは手は出されてないのか?』
『まだですけど、時間の問題だと思います。捕まったら確実にヤバイですね』
『通行人は通報してくれたのかなぁ。警察が来そうな感じする?』
『かなりデカイ声で言い合ってるんで通報はされると思…』
その時、運悪く海斗と男の目が合ってしまった。
その男は海斗に向って何かを叫び始めた。
すかさずインカムを飛ばす。
『やばっ、俺に何か言ってきました』
海斗はそれだけ伝えてインカムのボタンから手を離し、姿勢を正す。
「おい!そこのボーイ!聞いてんのか!」
海斗は自分を呼んでいる事に気付かないフリをしたが無理があった。
「そこに突っ立てるお前だよ。あの女を捕まえるのを手伝え!」
そう言って男が海斗の方を向く。