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闇夜に輝く

第39章 付け回し



目まぐるしく状況が変わっていく中、付け回しプランを再構築していく。

1番テーブルにいた美香さんが乾杯をして抜けてくる。

8番テーブルからもキャストが抜けてくるがそのキャストがトイレに行きたいと言いだす。
「急いでねー」と笑顔で送り出す。
内心は「お前トイレ行きすぎだろ!」と思いながら。

そして3番テーブルについていたサラさんも抜けてきた。
サラさんは呼ばれてもなかなか席を立たない場合が多い。今後の課題でもある。

新規客へのファースト接客としては少し弱いが、美香さん、サラさんでいく。

「美香さん、サラさんすぐ付くよ。フリー3名様なんだけど、10分くらい2人しか付けないんだ。一応、サービスビールを出してマイナススタートは了承してもらってるから」

「えー?またなのぉ?」

美香さんが少しぶーたれる。
そういえばさっきも美香さんはマイナス席だった。
美香さんはベテランだけあって色々な人に話しかけて会話をするのが上手い。
その分、一人の客に集中しきれずに指名を逃すことも多々あるが。

「ごめん!でも俺、付回しに慣れてなくてさ、頼れるのは普段から接してる担当キャストになっちゃうんだよ。だって、一番信頼できるんだもん」

海斗は美香さんとサラさんを交互に見る。
たまたまタイミング良くこの二人が海斗の担当だっただけだけど。
でもその言葉で満更でもない様子の2人。

「もー、しょうがないわねぇ。で、どっちに付けばいいの?」

キャリアの長い美香さんはこういう時に頼りになる。

「美香さんは奥の席で2人の男性の間に入ってください。途中からその横にキャストを付けるから、その後は角の席のお客さんメインでお願いします。サラさんは手前側の席ね」

「「はーい」」

二人は海斗の言葉に生返事をしながらも、しっかりとその客席を観察している。
海斗はこういったキャストのスイッチが入る瞬間がたまらなく好きだった。

「ありがとう。じゃぁ二人の魅力であのお客さんたちを骨抜きにしちゃってください」

美香さんが呆れ笑いと共に海斗を見る。

「なーにいっちゃってんのよ。はいはい、がんばります。ちゃんとあとから女の子をつけてよねー」

「なるべく早くつけます。さ、いこう!」

海斗は二人の肩をポンポンと軽くたたいて12番テーブルへ向かう。


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