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闇夜に輝く

第40章 後始末



海斗はその状況にどうしていいかわからず、携帯を持ったまま増田さんと坂東さんを交互に見ていた。

すると増田さんが

「この商売ってさ、ヤクザとかの裏社会との接し方って重要なんだよ。変にビビってもダメだし、憧れてもダメなんだ。どっちの接し方をしても結局は付け込まれる。常にスタンスを崩さない事。でも海斗はその辺の感覚が優れている。やっぱり向いてるよこの商売に」

「はぁ。そうなんですね」

「うんうん、店を任せられるか任せられないかの判断もその辺が重要になってくる。その点では合格だな」

海斗にとっては店長という立場はまだまだ遠い存在だと思っているのだが、この業界では1、2年で店長になる人もいるらしい。

「それから、ツカサの事はほっとけ。助けを求められても深入りするな。じゃないとお前自身も巻き込まれるぞ。この世界は全て自己責任だ。ヤクザとの関わりが普通の社会とは違い距離が近い。バランスが崩れると取り込まれる。そして抜け出すのは至難になる」

そう言って増田さんは坂東さんを見る。
坂東さんは若干気まずそうに顔をしかめていた。

海斗にはツカサさんの担当として出来ることが無いことを悟るしかなかった。

「じゃあ、ツカサさんの事も、あの相良っていう人の事も聞かないほうがいいんですね」

海斗はため息をつきつつ、独り言のように呟いた。



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